あこがれのホテル・旅館めぐり 
  Mme.Chiyoko 

   No.3

富士屋ホテル

 訪問日:2001年12月


富士屋ホテルの象徴
花御殿


壮麗な鳳凰が出迎えます


柱の後ろに
尾長鳥が隠れていました

第1回で紹介した日光の金谷ホテルや軽井沢の万平ホテルと並ぶ、クラシックホテルである箱根・宮ノ下の富士屋ホテルに今回宿泊しました。

道の反対側にあり、昔は熾烈な競争をしたという奈良屋旅館は既に解体されていましたが、年末の富士屋ホテルは内外の大勢の客で賑わっていました。金谷ホテルに比べると、ちょっぴり都会の雑踏を感じます。

金谷ホテルから養子に来た山口正造の影響か、館内は金谷ホテルをも上回る量の彫刻・レリーフ類で溢れています。軒下に鳩がとまっていたりなど遊び心があり、また、ちょっと稚拙なところがあっても、それがかえって心を和ませてくれます。


宿泊した洋館の部屋
室内には和風のものは
一切ありません

高い天井の室内にいると
海外で過ごしているように
錯覚してしまいそう

窓から見た風景
洋館なのに瓦屋根です


明治生まれの洋館は
なんと唐破風様式の玄関を備えます


なんとなく懐かしさを感じる
洋館内部


富士屋ホテルの各建物は
国の登録文化財です

さて、今回宿泊したのは花御殿ではなく、初代の山口仙之助の時代、明治に建てられた洋館の一室でした。一見ビクトリア様式の洋館ですが、瓦葺で唐破風様式の玄関を備えた珍しい建物です。しかしながら、内部はオーソドックスな本格的な洋館であり、私達はアメリカのNew England地方で昔訪れた様々なInnを思い出しました。(ボストンのA Cambridge House、セーラムのSalem Inn、ニューハンプシャー州のKennebunkport Innなど。特に Cambridge Houseは雪の晩に自分で暖炉を燃やしたこととと朝の美味しいワッフルがいい思い出です。)

私達が感じた懐かしさを明治に日本に滞在した外国人も望郷の念としてきっと感じていたことでしょう。また、初めて洋館に泊まる日本の方にとっては、洋館の暮らしを疑似体験することができたのではないでしょうか。

なお、New England地方のInnが大抵そうなのですが、木造の古い建物は物音や水周りが気になる場合が多いものです。この部屋については、2階で廊下から離れているせいか、建物が満室にも関わらず静かでした。水周りに関しては、文化財ということを考えれば及第点でしょう。バスルームの殆どを年代物の猫足のバスタブが占めるために、部屋側に新しい洗面台が設置されているのが少々変わっています。


学校の廊下のよう

ヘレン・ケラーの手紙

格天井のメインダイニング

昔から変わらない厨房も
ツアーで見られました

富士屋ホテルでは毎日夕方4時から館内ツアーがあります。オフシーズンでは各建物の様々な客室も見せてくれるらしいのですが、当日は満室であったため、客室は見られませんでした。それでも、巨大な施設ですので、食堂、厨房、宴会場、資料室、室内プール、バーなどをあちらこちらを巡るのに50分近くかかりました。館内ツアーには含まれませんでしたが、館内には温室や菊華荘と呼ばれる高松宮の旧御用邸もあり、ホテルの中だけで充分観光旅行が出来てしまいます。


バーではボトルが神棚に
祭られているかのよう


ダートもできます


宮ノ下のアンティークショップ
"INSPECTION WELCOME"
とは、ちょっと変?

私達が気に入ったのはバーでした。占領軍の米兵達が騒いだのも今は昔、時間が早かったせいか客も少なく、落ち着いた時を過ごせました。2人でカクテル類4杯と立派なサラダがつくセットは税込み3000円ととてもリーズナブルであり、バーテンダーの方も上品でカクテルの話を面白く聞かせてくれました。

富士屋ホテルのある宮ノ下には、外人相手のアンティークショップなどが何軒かあり、箱根の中でも独特の雰囲気があります。皆様もクラシックな気分を味わいに宮ノ下へどうぞ。

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